くにうみの先見

小泉政権で日本は大改革をしたと錯覚しているだけ

ところが、日本は大きな変革をほとんど行っていません。小泉改革の最大の功績は、欧米では93年に終わった、財政資金を入れた銀行と大企業の救済と整理でした。新しい経済ができたわけではなかったのです。

それなのに、痛みが大きかった分、日本が大改革を成し遂げたような錯覚に陥っていました。だから、80年代で有効性が終わった東京一極集中の製造業中心、輸出中心の国家モデルから脱却していません。ところが先進企業は海外に出ていきますから、国内経済の空洞化は着実に進んでいるのです。

それでいて、高速道路に代表されるように、国内のコスト構造は高いままで、文化やサービス産業や観光、農業など欧州型の産業は育っていません。

一方、80年代まで強かった情報通信ハイテク分野も、携帯電話やPCに見るように、国内の特殊な市場に満足しているうちに、世界でのシェアは続落しました。今強い自動車でさえ、中国やインドでの低価格車が今後品質を向上し量産効果で低価格になれば、優位が揺らぐことも予想されます。

根本的問題は、新しい世界企業が日本からは生まれないことです。時価総額上位50社のうち過去30年以内に一から生まれた企業はソフトバンク1社のみ、これでは、経済成長しないはずです。かといって、アジアなどの成長を取り込むはずの金融業は、一層内向きの対応に追われ、日本市場の地盤沈下は目を覆うばかりです。

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