くにうみの先見

グローバル化は“貧しさ”によるデフレ効果を生んだ

先進国企業の労働と不動産のコストが大きく低下してきたのですから、工業製品の価格はもちろん、ホワイトカラーの職種の一部であるサービス価格までも、低下圧力がかかります。だから、いくら石油などの1次産品の価格が上がっても、経済全体の価格体系が低下します。すると物価は上がらず、マネーの価格である金利も上がりません。

こうして、労働、不動産、マネーの価格が、加重平均してみれば、世界的に低下を続けました。これがグローバリゼーションのもたらすデフレ効果です。その最大の原因は、中国やインドなどにおける労働と不動産のコストの安さです。見方を変えれば、貧しさが強力な武器になったのです。

その反面、先進国では、勤労者の収入が相対的に低下するワーキングプアと言われる現象が生まれました。日本においても一億総中流社会が崩壊し、格差社会が生まれたのも、最大の原因はこの力学によるものです。

しかも、ガソリンや灯油、食料、日用品などの値上がりは勤労者や非正規雇用層を直撃し、実質所得の切り下げになります。こうした現象への対処の仕方で、先進国社会での活力に差がつきます。

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