くにうみの先見

歴史的にも世界に誇れる日本人の能力を今こそ生かす時

世界第6位の経済水域に囲まれ、外敵の進入を受けにくい国土、世界最速の成長を続けるアジアの中の位置、変化に富む気候と森と田畑と川と海の循環を守ってきた歴史、こうした基礎条件が砂漠になった多くの大文明との決定的な差です。資源と環境を守る国民性は、経済優先の風潮の中でも生きています。

そして、なんといっても、多くの点で世界一の優秀さを持つ国民の力があります。ポルトガルが鉄砲を伝えて100年以内に世界一の鉄砲生産国になった技術の伝統はいまも自動車やロボットなどの最先端のものづくりの世界に生きています。

感性と芸術性を合わせた独創性でも、世界に冠たる民族です。茶、花、庭、盆栽、焼き物、日常生活を芸術に高めることでは世界の追随を許しません。アニメや漫画、ゲームなどで世界の若者が熱狂するカルチャーも生み出します。

世界のいいものを自分のものにする力も持っています。ミシュランは、東京に最大の星の数を与えました。世界中の料理を自分のものにできる民族は日本人だけです。この点では、世界一柔軟な国民です。

日本には、アジアを初めとした世界との交流にももともと長い歴史があります。日本からの遣唐使や、中国から仏法を伝えた鑑真和上は、ともに命がけで日中の交流をしました。天武天皇に娘を輿入れさせるほどの名家で、漁業から出発して朝鮮半島や中国からペルシアに至る交易で海の正倉院と呼ばれる沖ノ島の国宝8万点の財宝を築いた宗像(むなかた)氏も同様です。

また、中国や韓国との交易を広げた平家が開いた神戸や大内氏が伸ばした博多、南蛮貿易の拠点であった堺や平戸、台湾や中国と交流した琉球王国の歴史を持つ沖縄、日本の海の交易の中心だった酒田、ローマ法王まで使節を送った伊達政宗の仙台など国際交流の拠点であったところは日本に数え切れないほどあります。

問題は、今の日本人が世界の経済の変化を理解していないことです。それでいて、20世紀の記憶にとらわれています。新しい世界経済のゲームのルールが見えてくれば、日本人は最高の適応能力を発揮するはずなのです。頑なにならずに、柔軟で広い視野で世界を見ることが日本再生への道につながるでしょう。

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