こうした世界経済の変化の受益者となるのは、まず、中国やインドなどアジアの大国、そこに積極的に参加する韓国、台湾、シンガポール、ベトナムなどのアジア諸国です。
資源国である中東やロシア、ブラジル、オーストラリア、カナダの成長も続きます。サブプライム問題で国内経済の成長が鈍化しても、金融とIT(情報技術)という2つのグローバル産業の覇権を握る米国も、企業を中心に再び成長の道が見えてくるでしょう。
ユーロ高で輸出が鈍化する欧州の経済も、多様なパターンではありますが成長を維持するでしょう。英国は、グローバル金融の中心地であるロンドンを抱え、また世界からの直接投資での地方経済の発展は息が長いでしょう。
ドイツも、東欧やロシアという発展地域での高いシェアと企業の競争力によって成長を持続するでしょう。イタリア、フランス、スペインといった国は、企業だけでなく、観光、高付加価値の農業、ファッション、贅沢品、リゾートなどへの世界からの高い人気に乗って、豊かなライフスタイルが富をひきつけるでしょう。
もちろん、ばら色の社会など世界に一つもありません。新興経済大国も先進国も発展途上国も、それぞれが深刻な国内問題を抱えています。
それは、治安やテロから年金や経済格差、少子高齢化、人種問題、健康、言論の抑圧、環境、資源など多岐にわたります。
しかし、世界のほとんどの地域で経済成長が加速し、企業の収益は伸びています。それを反映して世界の株式市場は21世紀に入って大きく上昇しています。サブプライム問題が峠を越せば、今年中にも世界経済も株式市場も再び成長パターンに入るでしょう。